数学と人間の活動(整数問題)~基本公式・例題一覧~

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約数・倍数

2つの整数 \(a , b\) について,ある整数 \(k\) を用いて, \(a=bk\)と表されるとき,\(b\)は\(a\)の約数,\(a\)は\(b\)の倍数であるという。

例題

\(a\) と \(a+b\) がともに \(5\) の倍数であるとき、\(b\)は\(5\)の倍数であることを証明せよ。

解答

\(a\) と \(a+b\) が \(5\) の倍数であるとき,整数\(k, l\)を用いて

\(a = 5k\), \(a+b = 5l\)

と表せる。

したがって、

\(b = 5l – a\)

\(= 5l – 5k\)

\(= 5 (l – k)\)

より,

\(b\) は \(5\) の倍数である。

素数・因数・素因数・素因数分解

素数…\(2\) 以上の自然数で,\(1\) とそれ自身以外に正の約数をもたない数

因数…整数がいくつかの整数の積で表されるとき,積を作る1つ1つの整数

素因数…素数である因数

素因数分解…自然数を素数だけの積の形に表すこと

公約数・最大公約数

公約数…\(2\) つ以上の整数に共通な約数

最大公約数…公約数のうち最大のもの

例題

\(24, 84\) の最大公約数を求めよ。

解答

\(24 = 2^3 \cdot 3\)

\(84 = 2^2 \cdot 3 \cdot 7\)

よって,最大公約数は

  \(2^2 \cdot 3 = 12\)

※素因数分解したときの共通部分となる

公倍数・最小公倍数

公倍数…2つ以上の整数に共通な倍数

最小公倍数…公倍数のうち正で最小のもの

例題

\(30, 200\)の最小公倍数を求めよ。

解答

\(30=2 \cdot 3 \cdot 5\)

\(200=2^3 \cdot 5^2\)

よって、最小公倍数は

  \(2^3 \cdot 3 \cdot 5^2 = 600\)

※素因数分解したときのどちらか一方に含まれる数の積となる

互いに素

2つの整数 \(a, b\) の最大公約数が \(1\) であるとき, \(a, b\) は互いに素であるといい、次が成り立つ

\(a, b\) が互いに素で,\(ak\) が \(b\) の倍数であるならば,\(k\) は \(b\) の倍数である

例題

\(9\) と \(21\) は互いに素であるかどうかを答えよ。

解答

\(9\) と \(21\) はともに \(3\) の倍数であるから最大公約数は \(3\) である

したがって、互いに素ではない

1.倍数の判定法
倍数の判定法

\(2\) の倍数 … 一の位が偶数 \((0, 2, 4, 6, 8)\)

\(3\) の倍数 … 各位の数の和が \(3\) の倍数

\(4\) の倍数 … 下 \(2\) 桁が \(4\) の倍数

\(5\) の倍数 … 一の位が \(0\) か \(5\)

\(8\) の倍数 … 下 \(3\) 桁が \(8\) の倍数

\(9\) の倍数 … 各位の数の和が \(9\) の倍数

\(10\) の倍数 … 一の位が \(0\)

\(11\) の倍数 … (偶数桁目の数の和)と(奇数桁目の数の和)の差が \(11\) の倍数

2.約数の個数
約数の個数

自然数 \(N=p^aq^br^c\cdots\cdots\) と素因数分解できるとき,\(N\) の正の約数の個数は

\((a+1)(b+1)(c+1)\cdots\cdots\)

となる。

例題

\(72\) の正の約数の個数を求めよ。

解答

\(72={2^3} \cdot {3^2}\) より

\(4 \cdot 3 =12\)

より  \(12\)個

3.整数の割り算
整数の割り算

整数\(a\)と正の整数\(b\)に対して

  \(a = bq + r,  0 \leq r < b\)

を満たす整数 \(q, r\) はただ1通りに定まる。

4.余りによる整数の分類
余りによる整数の分類

余りに着目した整数 \(A\) のおき方

整数 \(A\) は正の整数 \(m\) で割ったときの余りに着目して,次のようにおくことができる

\(mk, mk+1, mk+2, \cdots\cdots, mk + (m-1)\)

例:「ある整数 \(A\) は \(3\) で割ったときの余りが \(2\) である~」

→ \(A = 3k+2 \) (ただし,\(k\) は整数)と表せる

5.ユークリッドの互除法
割り算と最大公約数

2つの自然数 \(a, b\) について,\(a\) を \(b\) で割ったときの商を \(q\) , 余りを \(r\) とすると

   \(a\) と \(b\) の最大公約数は,\(b\) と \(r\) の最大公約数に等しい

ユークリッドの互除法

次の手順で \(a,b\) の最大公約数を求めることができる

STEP① \(a\) を \(b\) で割ったときの余り \(r\) を求める

STEP② \(b\) を \(r\) で割ったときの余り \(s\) を求める

(以下、割る数を余りで割ることを繰り返す)

STEP③ STEP②の結果、余りが \(0\) になったときの割る数が最大公約数となる

例題

次の2つの整数の最大公約数を求めよ。

\(221,  153\)

解答

\(221 = 153 \cdot 1 + 68\)

\(153 = 68 \cdot 2 + 17\)

\(68 = 17 \cdot 4 + 0\)

よって、\(221\) と \(153\) の最大公約数は

\(17\)

となる

6.\(n\)進法
\(n\)進法

位取りの基礎を \(n\) として数を表す方法を \(n\) 進法という。また、位取りの基礎となる数 \(n\) を底という。

例題

① 次の数を10進法で表せ。

\(101_{(2)}\)

② 次の10進法の数を[  ]内の表し方で表せ。

\(744\) [3進法]

解答

① \(101_{(2)}\) は

百の位(\(2^2\))の位が\(1\) , 十の位(\(2^1\))の位が \(0\) ,一の位が \(1\) より

\(101_{(2)}\)

\(= 2^2 \times 1 + 2^1 \times 0 +1 \times 1\)

\(= 5\)

② \(744 = 3 \cdot 248 + 0\)

\(248 = 3 \cdot 82 + 2\)

\(82 = 3 \cdot 27 + 1\)

\(27 = 3 \cdot 9 + 0\)

\(9 = 3 \cdot 3 + 0\)

\(3 = 3 \cdot 1 +0\)

よって,

3進法で表すと

 \(1000120_{(3)}\)

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