【集合と命題】3.逆・対偶・裏とは~具体例・証明問題への利用~

本記事の内容
  • 逆・対偶・裏とは
  • 逆・対偶・裏の具体例と真偽の関係性
  • 逆・対偶・裏を用いた問題例
目次

逆・対偶・裏について解説

逆・対偶・裏とは

命題 \( p ⇒ q\) に対して

逆:\( q ⇒ p\)
対偶:\( \overline{ q } ⇒ \overline{ p }\)
裏:\( \overline{ p } ⇒ \overline{ q }\)

と定義します。

シンスケ

「条件AならばB」があったとき、
逆 ⇒ AとBを入れ替える
裏 ⇒ AとBを否定にする
対偶⇒ 逆かつ裏にする
と考えます。

逆・対偶・裏の図のイメージ

Image of reverse, counter-even, and back

逆・対偶・裏の具体例と真偽の関係性

例えば、男性であるA先生がいたとします。

命題:「A先生 ⇒ 男性」

この命題は「真」です。

このとき、この命題の逆・対偶・裏の真偽がどうなるか考えてみましょう。

逆:「男性 ⇒ A先生」
対偶:「男性ではない ⇒ A先生ではない」
裏: 「A先生ではない ⇒ 男性ではない」

逆の真偽

まず、

逆:「男性 ⇒ A先生」

に関しては、一般的には成り立ちませんね。

シンスケ

男性全員がA先生ではありません(反例がある)

したがって、この命題の逆に関しては「」となります。

すなわち、

元の命題が「真」でもその逆が「真」であるとは限らない(真偽両方の可能性がある)

という点に注意しましょう。

※同様に、元の命題が「偽」であっても逆は「真」になることも「偽」になることもあります。

裏の真偽

続いて、裏がどうなるかみていきましょう。

裏:「A先生ではない ⇒ 男性ではない」

これも、逆の場合と同様に、A先生ではない人の中にも男性はおりますので、必ずしも成り立つとは限りません。

したがって、この命題の裏に関しては「」となります。

すなわち、裏に関しても

元の命題が「真」でもその裏が「真」であるとは限らない(真偽両方の可能性がある)

とということが成り立ちます。

※同様に、元の命題が「偽」であっても裏は「真」になることも「偽」になることもあります。

対偶の真偽

最後に、対偶をみていきましょう。

対偶:「男性ではない ⇒ A先生ではない」

これは、成り立ちますね。

一般的に条件\(p, q\) を満たす全体の集合を\(P, Q\) とし、全体集合を\(U\) とすると、

\(P \subset Q ⇒ \overline{Q} \subset \overline{P}\)

が以下の図の通り成り立ちます。

シンスケ

\(\overline{ q }\)は \(\overline{ p }\) に完全に含まれるため部分集合となります。

したがって、

命題\(p ⇒ q\) とその対偶\( \overline{ q } ⇒ \overline{ p }\)の真偽は一致する

ということがいえます。

したがって、特に証明問題において、

命題\(p ⇒ q\) を証明するにはその対偶\( \overline{ q } ⇒ \overline{ p }\)を証明してもOKです。

命題の逆・対偶・裏のまとめと例題
Image of reverse, counter-even, and back
例題

\(n\)を自然数とするとき,次の命題の真偽を調べよ。
また,その逆,対偶,裏を述べ,それらの真偽を調べよ。

\(n\)は\(4\)の倍数である\(\Rightarrow\) \(n\) は\(2\) の倍数である

解答

\(n\)が4の倍数であるとき、必ず2の倍数になるため、命題は真である

また、この命題の逆,対偶,裏は以下のようになる

逆:\(n\)は\(2\)の倍数である\(\Rightarrow\) \(n\) は\(4\) の倍数である  偽(反例:\(n=6\))

対偶:\(n\)は\(2\)の倍数でない\(\Rightarrow\) \(n\) は\(4\) の倍数でない 真

裏:\(n\)は\(4\)の倍数でない\(\Rightarrow\) \(n\) は\(2\) の倍数でない 偽(反例:\(n=6\))

対偶を利用した証明問題

証明問題では「対偶」の性質を利用することで以下のように証明できることがあります。

対偶を利用した証明問題

●対偶の利用 

命題\(p \Rightarrow q\) を証明するには, その対偶\(\overline{q} \Rightarrow \overline{p}\)を証明してもよい。
(命題\(p \Rightarrow q\) とその対偶\(\overline{q} \Rightarrow \overline{p}\)の真偽は一致する)

例題

\(n\)は整数とする。\(n^2\)が\(3\)の倍数でないならば,\(n\)は\(3\)の倍数でないことを証明せよ。

解答

対偶:「\(n\)が3の倍数ならば,\(n^2\)は3の倍数である」

ことを示せばよい。

\(n\)が\(3\)の倍数のとき,\(n=3k\)(\(k\)は整数)とすると,

\(n^2=(3k)^2=9k^2\)

より,3の倍数であるから,成り立つ。

よって、対偶が成り立つから元の命題も成り立つ。

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