【数学A】場合の数と確率~基本公式・例題一覧~

1.集合の要素の個数

\(U\)を全体集合とし,\(A, B\)をその部分集合とする。

和集合の要素の個数

①\(n(A \cup B)=n(A)+n(B)-n(A \cap B)\)

②\(A \cap B = \emptyset \) のとき \(n(A \cup B) =n(A)+n(B)\)

例題

\(1\)から\(50\)までの整数のうち,\(2\)と\(9\)の少なくとも一方で割り切れる数は何個あるか。

解答

\(1\)から\(50\)までの整数のうち,

\(2\)で割り切れる数は \(50 \div 2=25\) より \(25\)個

\(9\)で割り切れる数は \(50 \div 9=5 \cdots 5 \)より \(5\)個

\(2\)かつ\(9\)、すなわち、\(18\)で割り切れる数は 

\(50 \div 18=2 \cdots 14\) より \(2\)個

したがって、

\(2\)と\(9\)の少なくとも一方で割り切れる数は

\(25+5-2=28\)     \(28\)個

補集合の要素の個数

\(n(\overline{A})=n(U)-n(A)\)

例題

\(1\)から\(50\)までの整数のうち,\(8\)で割り切れない数は何個あるか。

解答

\(1\)から\(50\)までの整数のうち,\(8\)で割り切れる数は

\(50 \div 8=6 \cdots 2\) より \(6\)個

よって,\(8\)で割り切れない数は \(50-6=44\) より \(44\)個

2.場合の数
和の法則

2つの事柄A, Bは同時には起こらないとする。

Aの起こり方が\(a\)通りあり,Bの起こり方が\(b\)通りあるとすると,AまたはBの起こる場合の数は

\(a+b\) 通り

例題

大小2個のさいころを投げるとき,目の和が3または5になる場合は何通りあるか。

解答

目の和が3になる場合の数は

\((1, 2), (2, 1) \)の 2通り

目の和が5になる場合の数は

\((1, 4), (2, 3), (3, 2), (4, 1) \)の 4通り

この2つは同時には起こらないから

目の和が3または5になる場合の数は

\(2+4=6\) よって 6通り

積の法則

事柄A の起こり方が\(a\)通りあり,そのおのおのの場合について,事柄B の起こり方が\(b\)通りあるとすると,AとBがともに起こる場合の数は

\(a \times b\) 通り

例題

3冊の国語の参考書の中から1冊,4冊の数学の参考書の中から1冊の合計2冊を選ぶ方法は何通りあるか。

解答

3冊の国語の参考書を選んだそれぞれの場合について、数学の参考書の選び方が4通りずつあるから

\(3 \times 4=12\) \(12\)通り

3.順列
順列の総数\({}_n P_r\)

異なる\(n\)個のものから\(r\)個選んで並べる場合の総数は

\({}_n P_r =n(n-1)(n-2) \cdots\cdots (n-r+1)\)  通り

例題

① \({}_5 P_3\)の値を求めよ。

②10人の中から委員長と副委員長を1人ずつ選ぶ方法は,何通りあるか。

解答

① \({}_5 P_3=5\cdot4\cdot3=60\)

② \({}_{10} P_2=10\cdot9=90\)

よって 90通り

\(n\)の階乗

異なる\(n\)個のものをすべて並べる場合の総数は

\(n! = n(n-1)(n-2) \cdots\cdots \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1 \) 通り

例題

① \(6!\)の値を求めよ。

② 1から5までの数をすべて使ってできる整数は,何個あるか。

解答

① \(6!= 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1=360 \)

② \(5!= 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1=120 \)

より  120個

4.円順列
円順列

異なる\(n\)個のものの円順列の総数は

\((n-1)!\)

例題

6人が円形のテーブルに着席するとき、並び方は全部で何通りあるか。

解答

\((6-1)!= 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1=120 \)

より 120通り

5.組合せ
組合せの総数\({}_n C_r\)

① \({}_n C_r\)

\(=\frac{{}_n P_{n-r}}{r!}\)

\(=\frac{n(n-1)(n-2) \cdots\cdots (n-r+1)}{r(r-1)\cdots\cdots\cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}\)

② \({}_n C_r = \frac{n!}{r!(n-r)!}\) \((0!=1, {}_n C_0 =1)\)

\({}_n C_r\)の性質

① \({}_n C_r = {}_n C_{n-r}\) \((ただし、0 \leq r \leq n)\)

② \({}_n C_r = {}_{n-1} C_{r-1}+{}_{n-1}C_r\) \((ただし、1 \leq r \leq n-1, n \geq 2)\)

例題

① \({}_6 C_3\), \({}_{100} C_{98}\)の値をそれぞれ求めよ。

② 7人の生徒の中から2人を選ぶ方法は,何通りあるか。

解答

① \({}_6 C_3=\frac{6\cdot5\cdot4}{3\cdot2\cdot 1}\)

\(=20\),

 \({}_{100} C_{98}={}_100 C_2=\frac{100\cdot99}{2\cdot1}\)

 \(=4950\)

② \({}_7 C_2=\frac{ 7 \cdot 6}{2\cdot 1}\)

\(=21\)

より  21通り

6.同じものを含む順列
同じものを含む順列

aが\(p\)個, bが\(q\)個,c が\(r\)個あるとき,それら全部を1列に並べる順列の総数は

\({}_n C_p \times {}_{n-p}C_q = \frac{n!}{p!q!r!}\) \((ただし、p+q+r=n)\)

例題

a, a, b, b, b, c,c の7文字を1列に並べる方法は何通りあるか。

解答

\(\frac{7!}{2!3!2!}=210\) 

よって  210通り

※\({}_7 C_2 \times {}_5 C_3=210\) でも可

7.事象と確率
事象と確率

全事象\(U\)のどの根元事象も同様に確からしいとき,

事象\(A\)の起こる確率\(P(A)\)は

\(P(A)=\frac{n(A)}{n(U)}\)

例題

ジョーカーを除く1組52枚のトランプから1枚を選ぶとき,その札が3である確率を求めよ。

解答

全52枚の中に3の札は4枚あるから

\(\frac{4}{52}=\frac{1}{13}\)

よって, 求める確率は

\(\frac{1}{13}\)

8.いろいろな事象

2つの事象を\(A,B\)とする。

\(A\)と\(B\)の積事象\((A \cap B)\) 

\(A\)と\(B\)がともに起こる事象

\(A\)と\(B\)の和事象\((A \cup B)\)

\(A\)または\(B\)のどちらか一方が起こる事象

空事象\(\varnothing\)

空集合\(\varnothing\)で表される事象

背反事象 

2つの事象\(A, B\)が同時に起こらないとき,\(A, B\)は互いに排反または、互いに排反事象であるという。

9.確率の基本性質
確率の基本性質

① \(0 \leq P(A) \leq 1\)

② 空事象\(\emptyset\)の確率:\(P(\emptyset)=0\)

③ 全事象\(U\)の確率:\(P(U)=1\)

④ 事象\(A, B\)が互いに排反であるとき \(P(A \cup B)=P(A)+P(B) \)

例題

白玉4個, 赤玉3個が入っている袋から,玉を同時に3個取り出すとき,すべて同じ色が出る確率を求めよ。

解答

すべて同じ色が出るのは,取り出した3個の玉がすべて白玉か赤玉の場合のみである。

①すべて白玉である確率は

 \(\frac{{}_4 C_3}{{}_7C_3}\)

②すべて赤玉である確率は

 \(\frac{{}_3 C_3}{{}_7C_3}\)

①,②は互いに排反であるから、求める確率は

\(\frac{{}_4 C_3}{{}_7C_3}+\frac{{}_3 C_3}{{}_7C_3}\)

\(=\frac{1}{7}\)

10.和事象の確率
和事象の確率

\(P(A \cup B)=P(A)+P(B)-P(A \cap B)\)

※特に, \(A \cap B=\emptyset\)のとき \(P(A \cup B)=P(A)+P(B)\)

例題

1から50までの50枚のカードから1枚を取り出すとき,その番号が3または5で割り切れる確率を求めよ。

解答

50枚のうち

①3で割り切れる数は

   \(50 \div 3=16 \cdots 2\) より \(16\)枚

②5で割り切れる数は

   \(50 \div 5=10 \) より \(10\)枚

③3かつ5すなわち15で割り切れる数は

\(50 \div 15=3 \cdots 5 \) より \(3\)枚

したがって、3または5で割り切れる確率は

 \(\frac{16+10-3}{50}\)

  \(=\frac{23}{50}\)

11.余事象の確率
余事象の確率

\(P(\overline{A})=1-P(A)\)

例題

1から50までの50枚のカードから1枚を取り出すとき,その番号が3または5で割り切れる確率を求めよ。

解答

50枚のうち7で割り切れる数は

\(50 \div 7=7 \cdots 1\) より \(7\)枚

よって、7の倍数である確率は

\(\frac{7}{50}\)

したがって,7の倍数でない確率は

\(1-\frac{7}{50}\)

\(=\frac{43}{50}\)

12.独立な試行の確率
独立な試行の確率

2つの試行SとTが独立であるとき,Sで事象\(A\)が起こり,かつTで事象\(B\)が起こる確率\(p\)は,

\(p=P(A)P(B)\)

例題

ジョーカーを除く1組52枚のトランプから1枚を抜き取り,カードを見てからもとに戻すことを2回行うとき,1回目に3の札、2回目にスペードの札が出る確率を求めよ。

解答

52枚のトランプの中に3の札は4枚、スペードの札は13枚あり、1回目と2回目の事象は独立しているから、

\(\frac{4}{52} \cdot \frac{13}{52}\)

\(=\frac{1}{52}\)

よって

\(\frac{1}{52}\)

13.反復試行の確率
反復試行の確率

1回の試行で事象\(A\)の起こる確率を\(p\)とする。この試行を\(n\)回行う反復試行で,

\(A\)がちょうど\(r\)回起こる確率は

\({}_n C_r p^r (1-p)^{n-r}\)

例題

白玉2個,赤玉3個が入っている袋から玉を1個取り出し,色を調べてからもとに戻すことを3回続けて行うとき,白玉がちょうど2回出る確率を求めよ。

解答

袋から玉を1個取り出したとき,

白玉が出る確率 → \(\frac{2}{5}\)

赤玉が出る確率 → \(\frac{3}{5}\)

したがって、白玉がちょうど2回でる確率は

\({}_3 C_2 (\frac{2}{5})^2 (\frac{3}{5})\)

\(=\frac{36}{125}\)

よって

\(\frac{36}{125}\)

14.条件付き確率
条件付き確率

事象\(A\)が起こったときの事象\(B\)の起こる確率は

\(P_A(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

例題

ある鉄道の乗客のうち、全体の30%が定期券利用者で,全体の10%が学生の定期券利用者であることがわかった。定期券利用者の中から1人を選び出すとき,その人が学生である確率を求めよ。

解答

乗客全体から選び出された1人が定期券利用者であるという事象を\(A\),

学生であるという事象を\(B\)とすると、

  \(P(A)=\frac{30}{100}\), \(P(A \cap B=\frac{10}{100})\)

よって、求める確率は

\(P_A(B)\)

\(=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

\(=\frac{10}{100} \div \frac{30}{100}\)

\(=\frac{1}{3}\)

15.確率の乗法定理
確率の乗法定理

2つの事象\(A, B\)がともに起こる確率は

\(P(A \cap B)=P(A)P_A(B)\))

例題

当たりくじ4本を含む10本のくじの中から,引いたくじはもとに戻さないで,1本ずつ2回続けてくじを引く。このとき2本とも当たる確率を求めよ。

解答

1本目が当たる事象を\(A\), 2本目が当たるという事象を\(B\)とすると,

\(P(A)=\frac{4}{10}\)

また、1本目が当たりであるとき,2本目が当たる確率は全部で9本から当たりくじ3本のどれかが出ればよいから

\(P_A(B)=\frac{3}{9}\)

よって、2本とも当たる確率は,確率の乗法定理より、

\(P(A \cap B)\)

\(=P(A)P_A(B)\)

\(= \frac{4}{10} \times \frac{3}{9}\)

\(= \frac{2}{15}\)

よって

\( \frac{2}{15}\)

16.期待値
期待値

\(X\)のとる値

\(x_1,x_2,\cdots\cdots,x_n\)

の起こる確率がそれぞれ

 \(p_1, p_2,\cdots\cdots,p_n\)

であるとき,

\(X\)の期待値は

   \(x_1p_1+ x_2p_2+ x_3p_3+\cdots\cdots+x_np_n\)

例題

1個のさいころを投げて,4以下の目が出ると100円,5の目が出ると200円,6の目が出ると300円の賞金が得られるとする。この試行において,さいころを1回投げて得られる賞金額の期待値を求めよ。

解答

1回さいころを投げて

4以下の目(100円)が出る確率は \(\frac{4}{6}\)

5の目(200円)が出る確率は \(\frac{1}{6}\)

6の目(300円)が出る確率は \(\frac{1}{6}\)

であるから、1回投げて得られる賞金額の期待値は

\(100 \times \frac{4}{6}+200 \times \frac{1}{6}+300 \times \frac{1}{6}\)

\(=150\)

よって    150円

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