【高校新学習指導要領】観点別評価の概要と注意点を簡単解説

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ラッシーくん

2022年度から高校でも観点別評価が導入されると聞きました。
観点別評価はどのように導入されるのでしょうか??また、今後導入する上での注意点はありますか??

こういった疑問に答えます。

本記事の内容
  • 高校で導入される観点別評価の概要
  • 実際にどのように導入すればよいか
  • 今後検討すべき注意点

このような内容を解説していきます。

目次

観点別評価の概要

新学習指導要領導入と観点別評価

2022年度、高校入学生からは新学習指導要領が導入され、新たな教育方針では以下の「学力の三要素」が重視されるようになりました。

2014年12月高大接続改革答申による高校教育の学力の三要素
  1. 基礎的な知識・技能
  2. 思考力・判断力・表現力等の能力
  3. 主体性・多様性・協働性

このような「学力の三要素」をふまえた上で、「何ができるようになるか」という「新しい時代で必要な力」をまとめたものを「資質・能力の3つの柱」といいます。

新学習指導要領における資質・能力の3つの柱
  1. 生きて働く「知識・技能」の習得
  2. 思考力・判断力・表現力等
  3. 学びに向かう力・人間性等

この「3つの柱」を正しく評価するために導入されるのが、今回新たに高校で導入される「観点別評価」となります。

何を評価するの??

今回、高校で導入される「観点別評価」では

「知識・技能」「思考・表現・判断」「主体的に学習に取り組む態度」

の3つについて「A・B・C」の3段階で評価することになります。
例えば、今までは

数学Ⅰ 評定「4」

という算出となっていましたが、これからは同じ評定「4」だけでなく、以下のような各観点毎に「評価」もつく形式になります。

 この3観点3段階(A~C)評価は学校の義務であり、2022年度以降は必ず、どの学校も生徒指導要録に記載することになります。

ただし、新入試(2025年度入試)のための調査書における活用および通知表への記載は見送りとされているため、現状(2022年度の段階)では「生徒指導要録への記載」に関してのみ適用となります。
※「総合的な探究の時間」「ホームルーム」などは引き続き評価はしません。(観点別評価は適用外となります)

どのように評価するの??

どのように評価するかに関しての裁量は学校に任せられています。筆記試験、課題、発表など学校によって異なってかまいません。

ただし、方向性としては「生徒の成長度合い」がキーポイントになります。
例えば

これまでは、集団(他の人)と比較して生徒がどれくらいできているかを評価していましたが、これでは学ぶ意欲は育ちません。
観点別評価では生徒のよいところをたくさんみつけ、前向きな学びへつながるよう過去と比較してその生徒がどれだけ成長したかを評価することが求められます。

そのためには、教師の評価に加えて、生徒同士の評価や生徒の自己評価を入れたり、筆記試験だけでなく、論文やプレゼンテーションなど多彩なテストを導入することを検討していくとよいでしょう。

観点別評価算出方法の例

観点別評価算出方法の導入例としては以下のようなものがあります。

評価規準の設定

まず、年度当初に各教科毎の評価規準を設定する必要があります。

「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」

の3つの観点について何ができるようになればよいか表記をしましょう。
これは、生徒にも明示する必要がありますので、シラバスにおいて記載するのがおすすめです。

判断基準の設定

「判断基準」とは「評価基準」とも言われ、評価規準の達成度合いを数値化・記号化したものになります。
観点別評価に関しては

「A」 → 十分に満足
「B」 → おおむね満足
「C」 → 努力を要する

という目安になります。

判断基準に関しては生徒に必ず伝えなければならないものではありません。ただし、保護者からの問い合わせがある可能性もありますので、評価の根拠となる数値を教科内で事前に設定しておく必要があります。
例えば、

筆記試験「70点」、課題「10点」、発表「20点」の計100点中、
80点以上:評価「A」、40~79点:評価「B」、40点未満:評価「C」

といったように、統一の基準を数値化すると数値化したときの評価判断がしやすくなります。

「知識・技能」「思考・表現・判断」の数値化

「知識・技能」「思考・表現・判断」の数値化の1つの方法としては、定期試験問題作成の際に事前に
どの問題がどの能力を判断しているか明記してしまう方法があります。

厳密には各教科の裁量になりますが、おおよそは以下の目安で設定すると最初は運用しやすいでしょう。

「知識・技能」 → 基礎~標準的な問題(やればできる問題)
「思考・判断・表現」 → 応用~発展的な問題(自身で考える必要がある問題)

この際、解答用紙にもそれぞれが何点か記載し、生徒がわかるようにする必要があります。
例えば、以下のような記載です。

例:100点満点(「知識・技能」50点満点、「思考・判断・表現」50点満点)の試験において
⇒ 総合得点80点(「知識・技能」45点、「思考・判断・表現」35点)

評定算出では、上記の「知識・技能」、「思考・判断・表現」の総得点に加え、「課題」「小テスト」「発表」といった要素を合わせて100点換算を行います。この換算点を評価基準に基づき「A・B・C」の評価をすることで「教科担当」「生徒」双方にとって明確な評価になります。

主体的に学習に取り組む態度の評価

まず、

「主体的に学習に取り組む態度」とは「積極的な発言」や「挙手の回数」などの評価ではない

ということはた必ずおさえておきましょう。

今まではこのような「形式的な態度」を平常点などで評価しておりましたが、観点別評価における「主体的に学習に取り組む態度」とは、上記でも触れた通り、「成長度合い」を判断する指標になります。

具体的には、「知識・技能」「思考・判断・表現」を身に付けるために「自らの学習を試行錯誤しながら調整しているか」でその評価をするべきでしょう。

今後検討すべき注意点

今後は以下のような問題点について解消していく必要があると考えます。

調査書・通知表への記載方法

調査書における活用および通知表への記載は見送りとされていますが、最終的には調査書や通知表への記載がされる方向性で動いていると思ってよいでしょう。特に、通知表に関しては、

「各学期ごとに算出をするか」、「学年末のみの算出をするか」

で運用が大きく変わるでしょう。また、実際に調査書に反映されることが求められる場合は観点別評価のみで受験に不利になることを防ぐよう配慮する必要があると考えます。

主体的に学習に取り組む態度の数値化

「主体的に学習に取り組む態度」に関してはその性質上、数値化することが難しいものとなっています。「生徒の成長度合い」を判断するための何かしらの「ツール」や「指標」が今後は求められるのではないかという見解です。

また、「知識・技能」「思考・判断・表現」に関しても、調査書における各学校ごとの算出方法の差異をなくすために、統一的なツール(例えば、業者による統一的な「3観点評価テスト」)の導入も必要ではないかと考えます。

観点別評価と評定の相関関係

「観点別評価」と「評定」の相関関係についても検討材料となります。

例えば、

「観点別評価ABA」ならば評定「4」か「5」 のように観点別評価から評定算出をする方法

「観点別評価」と「評定」をあくまでも別々で算出する方法

など、「観点別評価」と「評定」の関係性を持たせるかは運用上、重要な判断基準となると考えます。

シンスケ

以上、参考になれば嬉しいです。
観点別評価のおすすめ書籍や新学習指導要領の全体像は以下をご覧ください。

観点別評価おすすめ書籍

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