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良い授業とはどのような授業なのでしょうか?授業づくりの基本を教えて下さい。
このような疑問について、この記事では教員歴15年以上の経験した教員が解説していきます。
良い授業の定義
良い授業や教え方は、
「教えた相手を成長させる」
ということが本質になります。
よくありがちな例として何かを説明した後に「今日はとても上手に説明できた」とか、逆に「うまく説明できなかった」とコメントする人がいますが、これはあくまでも自分自身の説明がどうだったかということに重きをおいており、本質的ではありません。
すなわち、自分自身が上手に説明できたかどうかに関わらず、
相手が成長した・できるようになった → 良い授業
相手が成長できなかった・できるようにならなかった → 良い授業ではない
という認識が非常に重要です。
特に、具体的に自身の授業が良い授業になっているかどうかは以下のような18項目のチェックポイントについて達成できているかどうかを判断基準としましょう。
☑ 教えるポイントを明確にしている
→ 先に結論を示す、重要箇所をわかりやすくしておく
☑ 具体例をあげたり、先に手本をみせている
→ 1つの結論に対して最低1つ以上は具体例をあげるとわかりやすくなる
☑ 根拠を示している
→ 根拠を入れることで正しさを証明でき、説得力が増す
☑ 図や表などを用いている
→ 口頭だけでなく、視覚的な表現があるほどわかりやすくなる
☑ 教える量・内容・難易度を適切にしている
→ 教える相手(理解度)によって量や内容、難易度(専門用語など)を予め調整する
☑ 相手への発問を入れている
☑ 教えた内容はその場で実践(演習)している
→ アウトプットを重視する
☑ 一度教えた内容でも、反復で何度かやる時間をとっている
→ 「できた」実感を何度も与える
☑ 考える時間をとっている
☑ あえてすべてを教えない(ヒントを与え続けている)
☑ 教える相手とは、主導権をとれる間柄である
→ 教員と生徒、先輩と後輩、親と子など最低でも対等以上の関係
☑ 教える相手が、理由もなく自分に反発することはない
→ 教えている時間だけでも、自分の指示に従ってもらう必要がある
☑ 教える相手との信頼関係(ラポール)がある
→ 間違えていなければ内容を受け入れてくれるだけの信頼が必要
☑ 声が大きさ・速さが適切である
☑ 丁寧な話口調と言葉遣いをしている
☑ 表情が柔らかく、威圧的でない
☑ 教える側に癖がない(手や口癖など)
☑ 教える側に余裕がある(視野が広いなど)
授業準備
授業準備はどれだけすべきか
まず、「そもそも授業準備はどのくらいするべきか??」という問いに関しては、「あなたの目標による」というのが私の答えになります。
正直、現場で働いていると1コマあたりの授業準備を20分程度で終わらせる先生がいる一方で、3~4時間くらいかける先生もいます。
この違いはなぜ起きるかと言うと、
A先生 ⇒ 「私はとにかく、教科書に書いてあることだけを生徒に理解させる授業をしたい」
B先生 ⇒ 「私は教科書だけを教えるのではなく、演習問題に取り組ませることで内容の定着を図りたい。また、教える単元の背景を理解させ、生徒主体のグループワークの時間も取りたい」
上記のように、例え同じ教科書を用いていても、教える先生自身の価値観や授業で教えたい「目標(生徒像)」によっても準備にかかる時間は大きく変わってきます。
当然、B先生のように、1つの授業でたくさんの事を教えようとすればそれだけ準備に時間をかける必要があります。
一般的には、「授業準備に時間をかければ、それだけいい授業になりやすい」と言えますが、とはいえ時間は有限ですので、あまりに授業準備だけに時間をかけすぎるのもよくありません。
特に、専任の先生であれば分掌の仕事にもしっかりと時間をかけるべきでしょう。
したがって、自分の中で主軸となる長期的な目標を立て、それにしたがって毎回の授業準備をするのがおすすめです。
このような形で、長期的な状態目標をイメージし、そこから逆算した上で、1日あたりの授業計画を立てていきましょう。
各学校では、必ず年間シラバスが各教科で作成されていますので、授業進度だけでなく、育てる生徒像に関しても学校で定めている場合があります。
学校の方向性と自身の方向性を照らし合わせながら、1つの授業でどこまで生徒に教えたいか、その目標に合わせた授業準備をすることが重要になります。
授業準備の時間を確保する方法
授業準備の時間を確保するには以下の3つの方法があります。
授業準備の時間を確保する方法3選
- 他の教員と連携する
- 生徒に任せる
- ToDoリストを作る
新任の先生や責任感が強い先生ほど自分ひとりで仕事を抱え込みがちですが、ときには他の教員と連携し、ときにはクラスの学級員などの生徒に任せるなどをすることも非常に重要です。
また、タスク管理が得意ではない方は「To Doリスト」を作成し、自分が今何をすべきかを整理しておくと結果的に時間の確保につなげることができます。
授業準備を効率的よく行う方法
「授業準備をする時間はとれるけれども、準備が終わらない」
このように感じる場合は、準備にかける効率を見直すことも重要です。
具体的には以下のような3つのポイントをおさえるだけでも、準備にかける効率は改善されていきます。
授業準備を効率よく行う方法3選
- 教授用指導書を利用する
- プリント作成用ソフトを利用する
- 教科内で資料(データ)を共有し、ストックしていく
近年の教材は、既に教授用指導書で教科書と提携したプリントやスライドが予め内臓されている場合が非常に多いです。
自分のオリジナルのプリントにこだわりたい方もいるかと思いますが、まずは、しっかりとした基本の型を覚えることも重要ですので、このような教授用指導書の元データをカスタマイズすることから始めることをおすすめします。
また、同一教科内の先生同士でも資料やデータでよいものがあれば積極的に共有し、ストックしていきましょう。
学校はひとりだけの仕事で成り立っているわけではありませんので、お互いが助け合うことで効率良く仕事を行うことができますよ。
ICT授業の導入方法
授業計画においては是非ICTを使った授業を導入しましょう。
ICT授業を行うメリット・デメリット
ICT授業を行う場合にはICTを活用することのメリット・デメリットを理解しながら利活用を考えることが重要です。
- いつでもどこでも指導ができる
- 生徒・保護者とのコミュニケーションがとりやすくなる
- 教職員の業務効率化
- ペーパーレス化
- AIによる分析指導が可能
- 視覚指導の優位性
- 反復指導の優位性
- 考える力を損なう危険性がある
- Wi-Fi接続に関するトラブル
- 予算が思った以上にかかる
- ICTを授業で使う頻度に差異が出る
- 情報リテラシーに関して徹底する必要がある
- ICTがパフォーマンスになりがち
- ICT支援員の設置は必須
スライドを使った授業の仕方
ICT教育では授業もスライドを使って行うことが多くなります。
スライドを使った授業を行うためには次のようなものを準備し、作成していきましょう。
スライドを使った授業をするときに必要な物
スライドを使った授業をするためには、まず下記のような物を用意しましょう。
- コンピューター
- プレゼンテーションソフトウェア
- プレゼンテーション用リモコン
- スクリーン
- スピーカー
- 電源ケーブルや延長コード
上記の中でも「コンピューター(PC)」「プレゼンテーションソフトウェア」は必須となります。
授業スライドの事前準備
事前に準備を行うことでより効果的で魅力的なスライドを作成することが可能です。
授業スライドを作成するために事前準備しておくことは以下のような5点になります。
- テーマとアウトライン
- 資料
- デザイン
- プレゼンテーションの目的
- 時間配分
作成手順
事前準備が終わったら、いよいよ授業スライドの作成に入ります。
- スライドのテンプレートを選ぶ
- スライドの基本情報を設定する
- スライド構成を考える
- スライドに必要な情報を集める
- スライドのデザインを決める
- スライドにアニメーションやトランジションを追加する
- スライドの最終チェックをする
授業プリント作成
授業を行う上では「教科書」「ノート」だけではなく、プリントを使った授業を展開している先生も多いかと思います。
「ノート」をまったく使わず、プリントのみの先生もたくさんいるかと思いますが、授業プリントを使う利点としては、次のような点があげられます。
役割①:授業内容の効率化
役割②:授業内容の整理・復習
役割③:授業内容の定着(授業内容の演習など)
役割④:授業内容のカスタマイズ
役割⑤:授業内容の視認性
授業プリントを作成する上では、上記のような5つの役割のどれを目的とし、網羅しながら作成していくかが非常に重要です。
これらをふまえると授業プリントの作り方のポイントは具体的には以下の5つであると考えています。
- 板書を写させるだけの構成にしない
- あらゆるサイズを合わせる
- 図や表などを適宜入れる
- 教科書とまったく同じ内容や構成にはしない
- 進度に応じて適宜演習問題を入れる
今までこれらを意識していなかった先生は作成したプリント内容が上記のような点を網羅しているか是非チェックしてみて下さい。
授業における導入
授業において、何よりも大切なのが「導入」になります。
「第一印象は最初の3秒で決まる」
とよくいわれますが、授業に関しても最初の導入が上手くいくかどうかで全体の印象が決まってしまうといっても過言ではありません。
良い導入とは以下のような3つの導入の役割をしっかり理解した上で、導入部に組み込むことが大切です。
☑ 本題前のウォームアップ
☑ 全体像の把握
☑ 興味・関心を抱かせる
上記の役割をふまえると、導入におけるネタ選びをするときのコツは以下の5つとなります。
☑ 簡単な復習を入れる上記の役割をふまえると、導入におけるネタ選びをするときのコツは以下の5つとなります。
☑ 目標(ゴール)を明確にする
☑ 日常生活や身近なことに関連させる
☑ 自明性をゆさぶる
☑ 生徒の声を取り入れる
また、導入に関しておすすめしているツールは以下の4つとなります。
☑ Kahoot
☑ Microsoft Forms
☑ Microsoft Power Point
☑ Canva
授業における展開
授業展開に関しては、まずうまくいかない原因を自覚することが大切です。
- 授業準備が十分でない
- 自分が話すことに執着している(自分が話すことが主ではない。むしろ話すと負荷がなくなる)
- 生徒を成長させる意識がない(考える時間、演習量、
- 視覚的な表現がまったくない(ICT活用、図表の有無、具体例をあげる、プリント)
- 生徒を恐れている(しっかりみる、上を向かない視野、声の大きさ、注視力)
- 落ち着きがない(無駄な動きが多い、
- 教態が悪い(手をついている、口癖、早口、言葉遣い、表情、
上記の原因をふまえて、生徒が興味をもつ授業展開を作るためにはどうすればよいのでしょうか。
授業展開のコツは次の5つになります。
- 授業準備に時間をかける
- 生徒に負荷をかける
- 導入で惹きつける
- 生徒との関係性を築いておく
- 表現技術を磨く
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