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授業がどうしてもうまくいかなくて困っています。
寝てしまう生徒や煩い生徒が出てしまうなど、授業展開がうまくいかないのですが、コツはありますでしょうか。
授業の作り方を教えて下さい。
このような疑問に答えます。
- 授業展開がうまくいかない原因7選
- 授業展開の5つのコツ
- 授業展開で使えるおすすめツール
中学高校の教員として15年以上学校教育に携わっている経験を活かし、様々な教育関連の情報を発信しています。教務主任の経験から、プロ目線の授業展開のコツを紹介していきます。
現在、教員として働いているものの
「授業展開がうまくいかない」
「授業展開はどのようにすればいい?」
「授業展開で使えるツールはある?」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回はこのような悩みを抱えている方に向けて、授業展開がうまくいかない原因やコツを15年以上の教員経験を基に解説していきます。
また、授業全体のコツは以下を参考にして下さい。
授業展開がうまくいかない原因7選
そもそも授業展開がうまくいかない原因にはどのようなことがあるでしょうか。
本サイトではこれらを以下の7点だと考えています。
- 授業準備が十分でない
- 自分が話すことに執着している
- 生徒を成長させる意識がない
- 視覚的な表現がまったくない
- 生徒を恐れている
- 落ち着きがない
- 教態が悪い
授業準備が十分ではない
授業展開がうまくいかない1つ目の原因は「そもそも授業準備が十分ではない」ことです。
「教え方」が上手か下手かは、説明する瞬間(当日)の出来・不出来にかかっていると勘違いしている人が多いのですが、実際は説明する瞬間(当日)ではなく、その前の準備がどれだけできているかで上手い教え方ができるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
説明が下手な人は準備を疎かにしがちです。
私自身も新任教諭の頃は当日の説明がすべてだと勘違いしていました。
特に、教えるのが上手い人は全体的な「進行」がスムーズで内容がわかりやすいイメージがありませんか?
実は教えるのが上手い人は「どのタイミング」で「どのような内容」を「どれくらいの時間をかけて教えるか」を事前にしっかりと考えています。
しかしながら、実はこのような条件を事前準備もなくいきなり満たしながら話せる人はほぼいません。
例えば、天才的な話術があると思われがちな明石家さんまさんですら、番組スタッフとの徹底した打ち合わせや出演者の履歴を調べ、準備に手を抜かない姿勢をずっと続けていると言われています。
実際に私自身もいきなり興味深い話ができるわけではなく、授業準備の段階で相当数の時間をかけています。
授業準備は本番の授業の最低3倍は時間をかけていますね。
また、難易度に関しても担当するクラスの生徒レベルによって必ず調整します。
逆に言うと、このような事前準備さえしっかりしてしまえば、当日はそれに従って教えるだけですよね。
したがって、まずはしっかりと事前準備しておくことが授業展開を改善するには何よりも大切なコツになります。
授業準備に関してはこちらがおすすめ
自分が話すことに執着している
授業展開がうまくいかない2つ目の原因は「自分が話すことに執着している」点です。
よくありがちな勘違いとして何かを説明した後に「今日はとても上手に説明できた」とか、逆に「うまく説明できなかった」とコメントする人がいますが、これはあくまでも自分自身の説明がどうだったかということに重きをおいており、本質的ではありません。
教え方の本質は、
「教えた相手を成長させる」
ということが本質になります。
すなわち、自分自身が上手に説明できたかどうかに関わらず、
相手が成長した・できるようになった → 良い授業
相手が成長できなかった・できるようにならなかった → 良い授業ではない
という認識が非常に重要です。
意外かもしれませんが、自分が説明している時間は生徒にとっては負荷がまったくかかっていないため、むしろ少なくできればできるほど良いです。
また、これと同じような失敗例に板書ばかりする授業も同様です。
したがって、
「自分ばかり話している」
「自分が板書しているだけ」
このような授業展開をしていないかどうかは一度見直してみるとよいでしょう。
生徒を成長させる意識がない
授業展開がうまくいかない3つ目の原因は「生徒を成長させる意識がない」点になります。
これも私がよく見てきた例ですが、
「教科書の内容(シラバス)」を終わらせることのみに執着し、上記でも触れた「生徒を成長させる」という本来の教育の目的を忘れている先生が多いように感じます。
たしかに、「教科書の内容(シラバス)」をしっかり終わらせることももちろん大切ですが、範囲を終わらせることだけに固執するとつまらない授業になってしまいます。
あくまでも「生徒を成長させる意識をもつ」ことを忘れないようにしましょう。
視覚的な表現がまったくない
授業展開がうまくいかない4つ目の原因は「視覚的な表現がまったくない」点になります。
人は文字や口頭だけの説明よりも「視覚」に訴えることで情報をイメージしやすくなるという特徴があります。
一般的に「わかりやすい」といわれる授業展開には図や表などが多く用いられていることが多いですね。
逆にうまくいかない授業展開ではプリントも含め、視覚表現がまったくないことがあります。
しかしながら、このような図や表は板書をするのは、慣れた教員でもそれなりに時間がかかりますし、ましてや、生徒にそれを写させる場合は、時間だけでなくクオリティも落ちることは明白ですよね。
そこで、近年注目されているのが、ICT教育です。
- いつでもどこでも指導ができる
- 生徒・保護者とのコミュニケーションがとりやすくなる
- 教職員の業務効率化
- ペーパーレス化
- AIによる分析指導が可能
- 視覚指導の優位性
- 反復指導の優位性
例えば「液晶モニターを利用したスライド」での授業は視覚的な表現をするのにかなり優位になります。
生徒を恐れている
授業展開がうまくいかない5つ目の原因は「生徒を恐れている」場合です。
例えば、
- 生徒の目をみて授業をすることができない(上を向いてしまうなど)
- 生徒の目が自分に向くのが怖い
- 声が小さい
このような特徴がある先生は無意識に「生徒を恐れている」可能性がありますので注意しましょう。
このような態度をしてしまうと、
「この先生は自信がないんだな」
「真面目にやらなくても怒られないだろうな」
このように生徒に思われ、信頼を失くし、授業展開がうまくいかない可能性が高くなりますので注意しましょう。
落ち着きがない
授業展開がうまくいかない6つ目の原因は「先生自身に落ち着きがない」場合です。
例えば、「頭」「手」「足」「上半身全体」などが、話している(立っている)ときに以下のようになっていないでしょうか。
「頭がふらふら動く」
「手が前にいったり、後ろにいったり、腰に手を当てたり落ち着かない」
「片足に体重が乗って、まっすぐ立っていない」
「上半身全体が揺れている」
上記のように、無駄な動きがあればあるほど、人は落ち着きがない印象になります。
場合によっては、「ジェスチャー」を加える事で効果的な事例もあるかもしれませんが、まずは高度なことは必要ありません。
したがって、上記のような特徴がある方は「立っているときは、直立不動」が原則になることを覚えておきましょう。
教態が悪い
授業展開がうまくいかない7つ目の原因は「教態が悪い」場合です。
例えば
- 早口や口癖
- 言葉遣いが悪い
- 表情が怖い
- 手をついたり、ポケットに入れながらの授業
- 姿勢が悪い
このような場合はやはり生徒の信頼を得られず授業展開がうまくいかない可能性がありますので注意しましょう。
このような内容は例えば、挨拶などでも重要なポイントです。
授業展開の5つのコツ~やり方がわからない方におすすめの作り方
それでは、上記の原因をふまえて、生徒が興味をもつ授業展開を作るためにはどうすればよいのでしょうか。
授業展開のコツは次の5つになります。
- 授業準備に時間をかける
- 生徒に負荷をかける
- 導入で惹きつける
- 生徒との関係性を築いておく
- 表現技術を磨く
授業準備に時間をかける
授業展開のコツの1つ目は「授業準備に時間をかける」ことになります。
原因でも触れた通り、授業は事前準備をしっかりできたかどうかが重要になりますのでうまくいっていないのであればまずはここを見直すとよいでしょう。
では、「そもそも授業準備はどのくらいするべきか??」という問いに関しては、「あなたの目標による」というのが私の答えになります。
正直、現場で働いていると1コマあたりの授業準備を20分程度で終わらせる先生がいる一方で、3~4時間くらいかける先生もいます。
この違いはなぜ起きるかと言うと、
A先生 ⇒ 「私はとにかく、教科書に書いてあることだけを生徒に理解させる授業をしたい」
B先生 ⇒ 「私は教科書だけを教えるのではなく、演習問題に取り組ませることで内容の定着を図りたい。また、教える単元の背景を理解させ、生徒主体のグループワークの時間も取りたい」
上記のように、例え同じ教科書を用いていても、教える先生自身の価値観や授業で教えたい「目標(生徒像)」によっても準備にかかる時間は大きく変わってきます。
当然、B先生のように、1つの授業でたくさんの事を教えようとすればそれだけ準備に時間をかける必要があります。
一般的には、「授業準備に時間をかければ、それだけいい授業になりやすい」と言えますが、とはいえ時間は有限ですので、あまりに授業準備だけに時間をかけすぎるのもよくありません。
特に、専任の先生であれば分掌の仕事にもしっかりと時間をかけるべきでしょう。
実際に、私も新人の頃は授業準備に時間をかけすぎてしまい分掌の仕事が疎かになってしまいました。その他にも、部活動や行事などもありますので授業準備のみに勤務時間を当てるのは得策とはいえないでしょう。
したがって、自分の中で主軸となる長期的な目標を立て、それにしたがって毎回の授業準備をするのがおすすめです。
例えば、
「このクラスの生徒達には○○大学のレベルに合格してもらいたい」
⇒「年度末の外部模試でクラス平均偏差値55以上を目指す必要がある」
⇒「1学期の外部模試でクラス平均偏差値50以上を目指す必要がある」
⇒「1学期の外部模試までに教科書は○ページまで、小テストは○回やる必要がある」
⇒「今月は教科書○ページまで、小テスト○回やる必要がある」
⇒「今週は教科書○ページまで、小テスト○回やる必要がある」
⇒「次の授業は教科書○ページまで、小テストはこの範囲をやろう」
このような形で、長期的な状態目標をイメージし、そこから逆算した上で、1日あたりの授業計画を立てていきましょう。
ポイントとしては、上記のように、「なるべく目標を数値化する」のが重要です。
私は、自身の授業計画だけでなく、生徒への勉強目標もこのような考え方で目標設定をさせています。
また、年間の目標を立てるときは、必ず各学校のシラバスを最初に確認することが大切です。
各学校では、必ず年間シラバスが各教科で作成されていますので、授業進度だけでなく、育てる生徒像に関しても学校で定めている場合があります。
したがって、学校の方向性と自身の方向性を照らし合わせながら、1つの授業でどこまで生徒に教えたいか、その目標に合わせた授業準備をすることが重要になります。
生徒に負荷をかける
授業展開のコツの2つ目は「生徒に負荷をかける」ことになります。
授業展開がうまくいかない原因の中でも
「原因②:自分が話すことに執着している」
「原因③:生徒を成長させる意識がない」
このような傾向がある方は、「生徒の負荷」を考えるとよいでしょう。
具体的には
- 生徒が考える時間をつくる
- 生徒の演習時間をつくる
- 発問の回数を増やす
- 演習にタイムマネジメントをとり入れる
- 反復回数を増やす
このような時間を取り入れることが大切です。
授業をやっているとどうしても「自分が話すこと」「自分が教えること」が主になってしまう方は非常に多いですが、実際にはこれでは自分の負荷が増えるだけです。
適宜、生徒の負荷を増やすことで教えたことを吸収し、より成長につなげることができますよ。
導入で惹きつける
授業展開のコツの3つ目は「そもそも導入で生徒を惹きつけておく」ことが大切です。
授業における導入の役割は以下のように3つあります。
授業導入における3つの大切な役割
✔ 本題前のウォームアップ
✔ 全体像の把握
✔ 興味・関心を抱かせる
興味や関心がどの程度あるかによって、生徒の授業展開での「理解度」も大きく変わってきます。
「全然関係ないと思っていたけど違う??」
「今までこう思っていたけど実はもっと奥が深い??」
このような意外性を導入時にもたせることができれば、
「もっと知りたい」「もっと学びたい」という学習への意欲に繋がり、それが結果的に理解度に反映されるといえます。
したがって、授業「展開」の部分そのものの前に「導入」部分もしっかりと作りこんでおきましょう。
生徒との関係性を築いておく
授業展開のコツの4つ目は「生徒との関係性(人間性)を築いておく」ことが大切です。
ここでいう「関係性」とは「教える相手との人間関係がしっかりできているかどうか」になります
これに関しては例えば以下のような項目を事前に満たしておく必要があります。
関係性のチェックポイント(主導権・制御・ラポール)
☑ 教える相手とは、主導権をとれる間柄である
→ 教員と生徒、先輩と後輩、親と子など最低でも対等以上の関係
☑ 教える相手が、理由もなく自分に反発することはない
→ 教えている時間だけでも、自分の指示に従ってもらう必要がある
☑ 教える相手との信頼関係(ラポール)がある
→ 間違えていなければ内容を受け入れてくれるだけの信頼が必要
どんなに教える側が「準備」をしたとしても、相手との人間関係が悪い場合は、その効果を十分に発揮できません。
例えば、
「普段だらしない人」「日常的に自分を嫌っている人」
の説明は教えられる側からするとどうしても積極的に理解しようという気にはならないですよね。
逆に、日常的に尊敬している人の話であれば、多少、自分と考え方が違っていても
「この人の言うことなら聞こう」
と積極的に意図を理解しようとする人も少なくないはずです。
このように、教え方が上手な人は日常の人間関係作りを教える以前に大切にします。
特に、授業展開がうまくいかない原因の中でも
「原因⑤:生徒を恐れていて、しっかり生徒の目をみて話したり、自分に注視させることが苦手」
という場合は日頃の生徒との人間関係を見直した方がよいでしょう。
表現技術を磨く
授業展開のコツの5つ目は「表現技術を磨く」ことが大切です。
「表現性(教えている瞬間の表現方法)」は以下のような項目になります。
- 発声(大きさ・速さ・口調、言葉遣い)
- 表情
- 態度(手の癖や視野・余裕)
具体的には上記のような教えた際の「発声」「表情」「態度」などがあげられますので以下のような項目をチェックしてみましょう。
表現性のチェックポイント(発声・表情・態度)
☑ 声が大きさ・速さが適切である
☑ 丁寧な話口調と言葉遣いをしている
☑ 表情が柔らかく、威圧的でない
☑ 教える側に癖がない(手や口癖など)
☑ 教える側に余裕がある(視野が広いなど)
ここに関しては、あくまでも教えるときに注意する必要があります。
しかしながら、今までの「準備」「人間関係」などがしっかりとできているのであれば落ち着いてこなせる内容になります。
例えば、「準備」がしっかりできているのであれば、自然と教える側に余裕が生まれますし、自信があるので声の大きさも大きくなります。
また、相手との「関係性(人間関係)」が良好であるならば、自然と表情も柔らかくなり、丁寧な口調で話すことができるでしょう。
授業展開で使えるおすすめツール
最後に上記のような授業展開をする上でのおすすめツールを紹介していきます。
私自身も実際に授業展開で利用しているおすすめツールは次の4つになります。
授業展開で使えるおすすめツール
✔ Kahoot
✔ Microsoft Forms
✔ Microsoft Power Point
✔ Canva
Kahoot!
Kahoot! は「4択クイズ」や「○×クイズ」を簡単に作ることができる無料のアプリになります。
テレビのクイズ番組のようなイメージで、冒頭に早押しで答えさせたり、逆に生徒に問題を作って出し合うということもできるので導入や展開で利用するととても盛り上がりますよ。
おすすめの使い方としては上記のポイントでも紹介した
「簡単な復習」「生徒の声を取り入れる」
といった内容にこのようなツールを利用するとよいでしょう。
Microsoft Forms
「Microsoft Forms」もアンケート作りをするにはとても便利なツールです。
「Microsoft Forms」は「Kahoot!」よりもゲーム性という意味では下がる印象ですが、アンケートした結果をしっかり分析してくれます。
Microsoft PowerPoint
「Microsoft PowerPoint」はスライド作りをする場合は一番おすすめです。
効果的な導入や展開をするためには、視覚にうったえることが効果的になりますので、PowerPointを使った図示での説明はむしろ必ず取り入れることをおすすめします。
例えば、「前時の復習を入れる」といったこともPowerPointを使えば簡単に行えます。
また、スライドを全面に利用した授業をするにはプレゼンテーションリモコンは一つあるととても便利です。
これからはICT教育が急速に進みますので、PowerPointなどのスライドを用いた授業が求められます。私自身は、プレゼンテーションリモコンはフルに活用しており、机間巡視をしながら遠隔でスライドを操作した授業をしています。
授業準備をする際には是非、スライドを使った計画案を立てましょう。
また、授業の他にも、様々なガイダンスや説明会などを担当することも多くあり、活用する機会はたくさんありますよ。
逆に言うと、プレゼンテーションリモコンがたくさん活用できるような授業がこれからは求められていくと考えています。ICT教育は今後重要になりますので、この機会に是非購入してみて下さいね。
Canva
「Canva」は洗練された動画編集やスライド作成が簡単にできるアプリです。
特に、導入においては、動画を用いると興味・関心を抱かせやすいですのでこの機会に是非利用してみましょう。
良い授業の全体像はこちら
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