授業プリントの作り方~デザインするときのポイント5選~

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ラッシーくん

授業プリントの作り方がわからなくて困っています。授業プリントはどのような点に気を付けて作成すればよいでしょうか??

このような疑問に答えます。

本記事の内容
  • 授業プリントの5つの役割と必要性
  • 授業プリントの作り方・デザインするときのポイント5選
  • 授業プリントを効率よく作成する方法3選
シンスケ

中学高校の教員として15年以上学校教育に携わっている経験を活かし、様々な教育関連の情報を発信しています。教務主任の経験から、プロ目線の授業プリントの作り方のコツを紹介していきます。

現在、教員として働いているものの

「授業プリントの作り方がわからない」
「授業プリントってそもそもなぜ作る必要があるの??」
「授業プリントを早く作成する方法はある??」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

今回はこのような悩みを抱えている方に向けて、授業プリントの作り方や必要性、効率よく作成する方法を15年以上の教員経験を基に解説していきます。

結論

授業プリントは「効率化」「整理・復習」「定着」「カスタマイズ」「視認性」を意識して作成することが重要!

授業全体のコツはこちら

目次

授業プリントの5つの役割と必要性

そもそも授業プリントの役割や必要性はどのような点にあるのでしょうか。

本サイトではこれらを以下の5点だと考えています。

授業プリントの役割と必要性

役割①:授業内容の効率化
役割②:授業内容の整理・復習
役割③:授業内容の定着(授業内容の演習など)
役割④:授業内容のカスタマイズ
役割⑤:授業内容の視認性

役割①:授業内容の効率化

授業プリントの役割の1つ目は授業内容の「効率化」になります。

授業を行うと、たいていの先生が一度は思うことに

「思っていたより授業進度が進まない」
「生徒がノートを写す時間が遅い」

このような悩みがあります。

板書・スライドのどちらを使った場合も同様に、授業で扱った内容すべてを生徒に写させてしまうと上記のように、授業進度が全く進まない事態になりかねません。

これを解消してくれるのが、授業プリントになります。

授業プリントに事前に授業内容の多くを記載しておくことで生徒が写す時間が軽減されるため、授業が効率よく進めることができるというメリットがあります。

役割②:授業内容の整理・復習

授業プリントの役割の2つ目は授業内容の「整理・復習」になります。

担当した生徒が教えられたことを一度の授業で理解できるかというと、できない生徒が多いのではないかと思います。

私自身も、得意な科目に関しては授業中のみで理解できてしまうこともありましたが、たいていは家に帰り自分で復習をすることで授業内容の定着を図っていました。

このように、自身で授業後に復習を行うためのツールとして、内容が整理されたプリントが必要になります。

ただし、生徒には別途教科書もありますので、整理だけの目的でプリントを作成する方は教科書とまったく同じ内容にならないような注意が必要です。

役割③:授業内容の定着

授業プリントの役割の3つ目は授業内容の「定着」になります。

「役割②:授業内容の整理・復習」でも述べた通り、教えたことを一度で理解できる生徒は少ないため、授業中に内容を定着させるにはプリントを使った演習が効果的です。

ICT教育が進んでいるとはいえ、まだまだ紙での試験が多いことを考えると、演習問題に関してはタブレットではなく、プリントという形式で学ばせた方が良いと個人的には感じています。

役割④:授業内容のカスタマイズ

授業プリントの役割の4つ目は授業内容の「カスタマイズ」になります。

原則、学校の授業は教科書に沿った内容のカリキュラムとはなりますが、授業準備をしていると、

「教科書の内容に追加で説明を入れたい」
「教科書の内容を一部省いて、簡潔に説明したい」

といったことが起こります。

このような追加や削除をする場合は、予めオリジナルにカスタマイズされた授業プリントを作成した方がスムーズに説明できるというメリットがあります。

役割⑤:授業内容の視認性

授業プリントの役割の5つ目は授業内容の「視認性」になります。

私はタブレットよりも、プリントの方が優れていると感じていることの一つに「視認性(みやすさ)」があると考えています。

例えば、長い文章や解説があったとき、タブレットだとどうしてもスクロールしなければならなかったり、拡大・縮小する必要がある場合もあります。

しかしながら、プリントであれば一見しただけで、全体像がわかりますよね。

授業内容の先が気になる生徒は少し先をすぐに確認することができますし、逆に前の内容でわからない部分がある場合もすぐに戻ることもできます。

したがって、このような「視認性(みやすさ)」に関しては授業プリントを作成するメリットといえるでしょう。

授業プリントの作り方~デザインするときのポイント5選~

では、実際には授業プリントを作るときにはどのような点に気を付けてデザインするべきでしょうか。

よい授業プリントを作成するためには、上記で紹介した

「効率化」「整理・復習」「定着」「カスタマイズ」「視認性」

といった役割を網羅できるような構成にすることが大切です。

具体的には以下の5つを意識しましょう。

授業プリントの作り方のポイント5選
  1. 板書を写させるだけの構成にしない
  2. あらゆるサイズを合わせる
  3. 図や表などを適宜入れる
  4. 教科書とまったく同じ内容や構成にはしない
  5. 進度に応じて適宜演習問題を入れる

板書を写させるだけの構成にしない

授業プリントの作り方の1つ目のポイントは「板書を写させるだけの構成にしない」という点です。

「役割①:授業内容の効率化」でも述べた通り、授業プリントはうまく活用すれば生徒がノートに写す時間を短縮し、例えば演習などの時間を多く割り当てることもできます。

もし、板書を写させる目的が「役割②:授業内容の復習(内容の整理)」ということであれば、事前に内容をプリントに記載しておくことをおすすめします。

あらゆるサイズを合わせる

授業プリントの作り方の2つ目のポイントは「あらゆるサイズを合わせる」ということを意識しましょう。

例えば、

  • 文字の大きさ
  • 文字の書体
  • ページ毎の余白
  • 用紙サイズ
  • 改行位置

上記のような内容は可能な限り揃えておくことが大切です。

授業プリントは「役割②:授業内容の整理・復習」ということを考慮して作成しなければなりません。

したがって、家に帰って生徒が復習したときに、

「プリントが読みにくい」
「ごちゃごちゃしている」
「やたらと文字ばかりが詰まっている」

このようなプリントになっていては、生徒の学習意欲を損なう危険性があります。

したがって、見やすいプリント作成をする上でも上記であげたような「あらゆるサイズを合わせる」ということを是非心掛けてみて下さい。

また、「役割②:授業内容の整理・復習」という観点を考えると内容以外にもプリントの収納のさせ方にもできるだけこだわりましょう。

例えば、プリントをそのまま配布すると生徒によってはうまく整理できないことが多いのですが、プリントにA4サイズ用の穴を空けておくと、自然と整理させることができますので下記のような「多穴パンチ」を利用するのがおすすめです。

多穴パンチは2種類あります。

シンスケ

上記のタイプは値段は安いですが、一度に5枚までしか穴を空けることができません。
試しに使ってみるならこちらもいいかと思います。

シンスケ

おすすめはこのタイプになります。値段は高くなりますが、一度にたくさんの枚数を空けることができますので長く使う分には大変おすすめですよ。私自身も、このタイプの物を15年以上愛用しています。

図や表などを適宜入れる

授業プリントの作り方の3つ目のポイントはは「図や表などを適宜入れる」という点です。

人は文字や口頭だけの説明よりも「視覚」に訴えることで情報をイメージしやすくなるという特徴があります。

したがって、一般的に「みやすい」「わかりやすい」といわれるプリントを作成するためには、図や表などをなるべく多く用いてイメージしやすい構成にすることが大切です。

このような図や表は板書をするのは、慣れた教員でもそれなりに時間がかかりますし、ましてや、生徒にそれを写させる場合は、時間だけでなくクオリティも落ちることは明白です。

したがって、

「役割①:授業内容の効率化」「役割②:授業内容の復習(内容の整理)」「役割⑤:授業内容の視認性」

などのいずれの目的においても図や表は授業プリント内に予め入れておいた方がよいでしょう。

教科書とまったく同じ内容や構成にしない

授業プリントの作り方の4つ目のポイントはは「教科書とまったく同じ内容や構成にしない」ように注意しましょう。

これは

「教科書とまったく同じ内容や構成なのであれば、むしろ教科書のみで充足してしまう」

ということが最大の理由です。

シンスケ

教科書とまったく同じなのであればプリントを作る意味はないかなと個人的には感じています。

もちろん、大まかな内容に関しては教科書の内容に沿わなければなりません。

しかしながら、例えば、

  • 教科書に記載されていないワンポイントアドバイスを入れる
  • 教科書では扱われていない補足問題を入れる
  • 自分用に説明の順番を適宜入れ換える

このような内容を意識して「役割④:授業内容のカスタマイズ」ができるという授業プリントのメリットを十分に活かすことが大切です。

進度に応じて適宜演習問題を入れる

授業プリントの作り方の5つ目のポイントは「進度に応じて適宜演習問題を入れる」ようにしましょう。

授業プリントの目的でもある「役割③:授業内容の定着」を満たすためにおすすめなのが「演習問題」になります。

私自身、授業を15年以上経験しましたが、どんなに上手く説明ができ、生徒が理解したようにみえても、数日後には生徒が内容を忘れてしまうことが過去に何度もありました。

すなわち、理解はしていても定着をしていない場合というのは授業をしていると実はとても多く起こり得ます。

特に「基本・標準レベル」を完璧にするためには、以下のように「定着するまで生徒にやらせる」ことが重要になります。

問題内容が定着するまでの生徒の取り組み例

上記の流れの中で、特に重要なのは「4.もう一度類題を解く」になります。

授業解説を聞いて、わかった気になってしまう生徒は非常に多いのですが、「定着」とは「できた経験の多さ」になります。正しい答案を書く経験が増えることで自然と「定着」につながることを覚えておきましょう。

したがって、私の例のような

「生徒が理解したようにみえても、数日後には生徒が内容を忘れてしまう」

といった悩みを抱えている先生は、定着させるためのしかけとして説明した瞬間に演習問題をたくさん解く構成の授業プリントを作成すると改善する可能性があります。

授業プリントを効率よく作成する方法3選

ここまで、授業プリントの作り方をみてきましたが、実際は上記のようなポイントを1つ1つ満たそうとすると時間がかかりそうですよね。

授業準備の際は効率のよさも重要ですが、素早く作成する方法には以下の3つのポイントがあります。

授業プリントを効率よく作成する方法
  • 教授用指導書を利用する
  • プリント作成用ソフトを利用する
  • 教科内で資料(データ)を共有し、ストックしていく

教授用指導書を利用する

授業準備の効率を上げる1つ目のポイントは「教授用指導書を利用する」ということになります。

ラッシーくん

教授用指導書って指導法が記載されているだけじゃないんですか??
これで時短になるんですか??

このように思われている先生もいるかもしれませんが、教授用指導書は指導法が記載されているだけでなく、

「授業用のプリント」
「説明用のスライド(パワーポイント)」
「教科書の小テスト」
「演習問題」
「教科書の解答」

このような内容が収められたデータ(CDーROM)が実は付属されています。

「授業用プリント」「説明用スライド」の内容はプロの私から見ても素晴らしい出来になっていますし、これを利用するだけでも1コマの授業は十分成立するクオリティです。

特に新任の先生などは下手に自作のプリントやスライドを作るよりも、まずはこのようなツールを活用していき徐々に自分用にカスタマイズしていった方が、授業準備の効率・クオリティのどちらをとってもおすすめです。

シンスケ

授業に関しても慣れるまでは型を学ぶことがまず大切ということです。

たいていの学校では「教授用指導書」は購入しているはずですので、もし、活用したことがない人はこの機会に是非利用してみましょう。

プリント作成用ソフトを利用する

授業準備の効率を上げる2つ目のポイントは「プリント作成用ソフト」を利用することです。

例えば、私の場合は数学を専門としていますのでStudyaidを活用しています。

プリント作成ソフトは何が良いかと言うと、問題集や教科書の問題を選択するだけで簡単にプリントを作成できる点です。
しかも、問題だけでなく、詳細な解説に関してもワンクリックで作ることができます。

数学などはWord等で作成しようとすると数式の打ち込みに物凄く時間がかかったり、図やグラフの作成にも苦労しますが、このような専用のソフトであれば数式、図、表、特殊な演算記号なども簡単に作成することができます。

また、数学以外に関しては、Xam(イグザム)がおすすめです。こちらは、大学入試の過去問題などを活用した試験問題やプリントを簡単に作成できます。

国語や英語などは題材探しさえ大変かと思いますが、このソフトを利用することでストレスがかなりなくなるので、実際に利用している先生は多くいます。

これらも学校で、既に導入している学校も多くありますし、もし導入していないようであれば一度試してみることをおすすめします。

教科内で資料(データ)を共有し、ストックしていく

授業準備の効率を上げる3つ目のポイントは「教科内で資料(データ)を共有し、ストックしていく」になります。

これは各学校の教科方針にもよりますが、作成したプリントやスライドは教科内で共有するとかなり効率が上がります。

例えば、

「昨年度、数学Ⅰを担当したA先生から演習問題プリントのデータをすべてもらい、逆に自分は数学ⅡのデータをA先生にあげる」

このように、個人だけでデータをストックしていくのではなく、教科全体でデータを共有し、「良い物は皆で使う」という「GIVEの精神」を教員同士が持つとよいでしょう。

シンスケ

学校内の教員が協力し合えば授業準備なども実は劇的に改善されます。助け合いは本当に大切です。また、作成したプリントやスライドは毎年教科内でストックしていくとどんどん授業準備が楽になっていきますよ。

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